妻籠宿・馬籠宿(2/2)

どんなに煌びやかにデザインされた照明も,自然光のもらたす美しさや表情の豊かさには遠く及ばない.

最もプリミティブで,気まぐれでありながら恒久的な存在である.

先入観を捨てて,感性を豊かに保てさえすれば身近な所で誰にでも発見することが出来る.

普遍的な美である.

古い日本家屋には闇がある.闇は光の美しさを際立ててくれる.

闇は人の認知の外側の空間である.

日本では,諸外国に比べると家や街を明るくしようとする傾向が強い.

未知を人は恐れ,身の回りを明るくすることで安心感を得ようとするが,そうすることで失われるものは光の美しさや,素材の質感,陰影の美しさだけではない.

他者への想像力,寛容さ,挑戦する勇気は闇が育むのではないか.

物語は闇に宿り,光によって動き出す.