北欧旅行記 Day 1

2023年8月,北欧の建築を巡る旅に行きました.
訪れたのはフィンランドとデンマーク.
10日間の滞在です.

北欧の建築旅行はコロナ禍直前に計画していましたが,延期となってようやく実現しました.
もともと計画していた春の旅行より,夏に行った方が日が長く,より楽しめます.
さらに夏にしか見れないと言うことで諦めていた建築もあります.
結果オーライとしましょう.

まずは中部国際空港から仁川を経由し,FINAIRでヘルシンキ・ヴァンター国際空港に向かいます.
実は台風がちょうど仁川付近に来ていた為,フライトがキャンセルされないか心配しながら当日を迎えました.

しかし,問題なく飛行機は離陸.
胸を撫で下ろしました.

フライトは15時間程.
ロシアのウクライナ侵攻のため,南側に蛇行しながら迂回する空路で,従来よりもかなり長くなりました…
山の多い地域を飛んだためか,あまり快適なフライトとは言えなかったです.
特にゴビ砂漠上空は気流が乱れており,かなり揺れて辛い時間となりました.


ヘルシンキに到着したのは早朝です.
航空機の窓からブルーに染まるヘルシンキの街が見え,期待に胸が高鳴ります.

窓側席エストニアのバイオリニストが代わりに撮ってくれた

フィンランドで公共交通機関を効率的に活用するためにはスマホアプリの利用がベターです.
空港についたら先ずはスマートフォンを使えるようにしなければいけません.空港内の売店でプリペイドSimを購入しました.

DNA社のSimで,設定は簡単.
iPhoneで問題なく利用できました.

空港から市街地へは電車で移動.
ヘルシンキ中央駅に到着しました.

ヘルシンキ中央駅

ヘルシンキ中央駅はエリエル・サーリネンの設計.
1914年竣工の北欧ロマン主義建築です.
古典主義でも機能主義でもない,国のアイデンティティを模索する建築意匠の過渡期を感じさせます.

ヘルシンキではHSL(ヘルシンキ市交通局)のアプリを使用し,AB区間で3デイチケットを購入しました.
選択した期間・区間でトラム,地下鉄,バスを自由に利用できてとても便利です.
アプリでの切符購入は簡単で,公共交通機関には改札はなく,チェックも殆どないので実にスムーズです.

駅から近いホテルに荷物を預け,朝食を取る為,トラムに乗ってヘルシンキの老舗カフェ・ベーカリー EKBERG(エクベリ)へ.

フィンランドのパンと言えばシナモンロールですが,ここのシナモンロールがとても美味しかった.
この旅で食べた中では一番好きな感じでした.
1852年の創業とは,なかなか凄いですね.
入った時は席が空いていましたが,あっという間に満席となって,地元でも人気のようでした.

シナモンロールとブルベリーデニッシュを注文

カフェから中央駅方向へ少し戻り,市街地を散策がてらエスプラナーディ通り(Esplanadi)へ.
緑と花で公園と通りは彩られ,多くの人で賑わっています.
マリメッコ,イッタラ,アルテックなどのメジャーなショップの他,気の利いたパン屋やセレクトショップ,雑貨屋等が並ぶエリアですが,アアルト設計のアカデミア書店もこの通りにあります.

アカデミア書店 / Alvar Aalto

本屋さんと言うことで,とても気軽に見学できます.
大理石に真鍮,木製建具と素材使いがとても良いです.
また,宝石が突き刺さったようなトップライトがアクセントとしてモダンな印象をもたらしています.
日常の中にこうした質の高い空間があるのはとても良いなと思いました.

アカデミア書店で時間を調整し,開館時間10:00を過ぎた為,ヘルシンキ現代美術館Kiasmaへ向かいました.
ヘルシンキ現代美術館は駅から近く徒歩でもアクセスが可能です.

Kiasma / Steven Holl

Kiasmaは,渓谷のような内部空間を持っており,光の取り入れ方が美しい建築です.
細かな部分から建築をつくることを楽しんでいる印象を受けました.
開催されていた展示の内容がちょっとキツかったのは残念でした.
[Kiasma その他の写真]

Kiasmaからトラムに乗って移動をし,観光名所としても知られるテンペリアウキオ教会に向かいました.

テンペリアウキオ教会

テンペリアウキオ教会はヘルシンキ市街地に唐突にぽつりと現れる岩山をくり抜いて作られた建築で,外観は地味ですが,内部は圧巻.
岩に囲まれる空間にルーバー状の架構で支えられた銅の円盤が浮かび,対比が力強く,その間から落ちる光と影が美しい空間となっています.

観光客が多く訪れていましたが,無料でアクセスできる屋上が緑化された公園のようになっており地元の方も木陰で過ごしていて良い雰囲気でした.

改修中のフィンランディアホールと手前の謎の建物(ちょっと邪魔)

教会を後にして,街を散策しながらフィンランディアホールに向かいました.
フィンランディアホールはフィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルトの設計し,1971年に建ててられたコンサートホールです.
残念ながら大規模に改修をしており見学はできませんでした.

ということで,駅方面に戻り話題の図書館「ヘルシンキ中央図書館 Oodi」に向かいました.

フィンランディアホール,図書館,美術館は同じ公園に面していて,徒歩で回ることができます.
この公園,池に面した広い公園で一見良さげなのですが,カモが沢山いて糞が大量に落ちているので非常に歩き辛いです.しかもちょっと臭う.
フィンランドの芝生はカモがいないか確認してから歩いた方が良さそうだとここで警戒レベルをUP.

ヘルシンキ中央図書館 Oodi

Oodiは1階がオープンスペースとカフェ,2階は3Dプリンターやミシンを設置した制作スペースや音楽スタジオ等,3階が図書館となっている複合施設です.
現代的なデザインが目を惹きますが,1階のボードゲームコーナーで老若男女入り混じりチェスをしている光景に良い印象を抱きました.

地下1階に設けられたジェンダーレストイレはなかなか過激です.
不透明なガラス扉のブースが光り,中の人のシルエットが表から見えるという仕掛けが施されています.
ブースの奥に進めば見えなくなるわけですが,個人的には使うのも外にいるのも落ち着かなかったです.
ヘルシンキに訪れる予定がある方は一度お試しあれ.


夕食はKiasmaのカフェでとりました.サラダバーがついていたのがGood.

量が多く,ちょっと重かったけど,味は悪くなかったです.
北欧の定番サーモンスープも美味しかったです.
サーモン相応の臭みは少しありますが許容範囲.

夕食を終えても,まだまだ明るいですが,結構な距離を歩いており,
フライトの疲れも残っているので宿に戻ることに.


ホテルはScandic Grand Central Helsinki.
ヘルシンキ中央駅に隣接したこのホテルは,
フィンランド鉄道の古いオフィスを改装したホテルで,建物そのものが魅力的です.
ヘルシンキ滞在中は連泊し,拠点としました.
いくつか宿の候補はありましたが,コスパも良かったし,正解だったかな.