岐阜県各務原市に建つ,地域住民の幅広い利用を想定した大型の喫茶店である.
方形屋根にするということとプランの大枠が決まった状態で,喫茶店の経営を担う地元の工務店より,プランのテコ入れと意匠面での提案,実施設計での協力を依頼された.
そのため,AALは既存のプランを土台とし,意匠性を高め,魅力的な空間となるよう調整と詳細な設計を行なった.
この建築のデザインでは,
第一に周辺環境の黒土の畑や植栽に馴染む黒塗りの板張りの外装と,低い軒の方形屋根との組み合わせで落ち着いた佇まいとすることを考えた.
第二に内部は開放的でめりはりのある空間とし,周囲に植えられた緑に意識を向けることを考えた.
具体的には,開放感が引き立つようにインテリアはシンプルなものとし,外へと視線を促すように窓に向かって伸びる壁を設置,外壁を極力つくらない設計としている.
現場レベルでは工務店に引き継いだ為,細かな部分には工務店や喫茶スタッフの拘りや工夫が現れている.
純喫茶でありながらも新鮮な雰囲気したいという要望と,現場での細かな変更が起こるという前提を踏まえ,AALの提案としてそれらを包括する大きな空間構成で応えることが出来た.
完成した建物には地域の人たちが気軽に利用できるようにスタイリッシュにし過ぎない,くだけた雰囲気にしたいという工務店の想いも見てとれ,空間構成とのコラボレーションで居心地のよい喫茶店となった.