運河沿いから離れ,メトロと電車をの乗り継いで,コペンハーゲン中心部から外れた住宅街にあるバウスベアバウスベア教会(Bagsværd Kirke)に向かいます.
メトロでは見なかったような気がしますが,地上を走る電車では自転車置き場を備えた車両があります.
これは日本にも欲しいですね.
日本の鉄道の駅には改札があるから難しいかな?
目的地最寄りのバウスベア駅(Bagsværd St.)に到着し,電車を降りると街の様子が何やらおかしい…
道路が封鎖され自転車レースのコースと会場の準備が進められていました.
立て続けに自転車大国らしい風景を見て感動しましたが,目的地の前面の道路がこの有り様ということで,一抹の不安も…
バウスベア教会は果たして見学できるのか?
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Bagsværd Church(1976)/Jørn Utzon
むむむ,この建物入り口どこだ?
鍵のかかった入り口らしきドアがいくつかありますが,中に入れる様子ではありません.
掲示板を見るとやはり,この日は開館日…またもや海外の洗礼か?教会建築だけに…
同じく,入り口近辺をうろうろするおばさまが声を掛けてきました.
司祭さんのFacebookページに自転車レースを見るため午後のみ開放するとの記載があったとのこと.
いやいや,既に午後なんだよな…笑
結局おばさまが司祭さんに直接連絡をつけてくれて,15~17時中に入れることになったと教えてくれました.
1時間以上間が開くため,予定変更です.
先にグルントヴィークス教会(Grundtvigs Kirke)を見学することにしました.
比較的近場ですが電車での移動となります.
街道沿いのベーカーリーも,レースに合わせて可愛らしく飾りつけていました.
そこでパンを買って食べましたが,美味しかったです.
街をあげて盛り上げている雰囲気がとても良かったですね.
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Grundtvigs Kirke(1940)/Peder Vilhelm Jensen-Klint
グルントヴィークス教会は,素朴なベージュ色のレンガでつくられた巨大で重厚な建築です.
教会建築としては比較的新しく1940年竣工の表現主義建築になります.
1913年にコンペで案が選定され,1921年に着工し,息子に引き継がれながら1940年にようやく完成したというもの.
大聖堂の工期としては特別長いわけでもありませんが,第一時世界大戦を挟みながらも実現した北欧ロマンを感じさせる一大プロジェクトです.
レンガの組み合わせで作られた幾何学で圧巻の空間が作られています.
装飾は最小限.
それにより,光と影,素材の美しさが引き立ちます.
空間のダイナミズムをストレートに感じさせてくれる意匠だと思います.
素晴らしい建築でした.
屋根の修繕工事をしていたようで,外部には足場がかかっていました.
足場の取れた状態を見にまた訪れたいです.
じっくりと見学をし,良い時間となったので,再びバウスベア教会に向かいます.
駅に向かう途中のタウンハウスですが,前庭と垣根があって良い雰囲気だと感じました.
タウンハウスの背後には戸建住宅が並んでいますが,こちらも隣家との境界は垣根でつくられています.
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大通り沿いのタウンハウス,内側に落ち着いた戸建て住宅地が広がる
日本では既製品のアルミフェンスで隔てることがほとんどですが,随分印象が違います.
住宅から境の作り方まで,どのような素材でどう作るべきなのか,美学や思想があるのが分かります.
一戸で完結しない,町として豊かな環境をつくるという精神があるのでしょう.
私も普段の設計では,なるべくアルミフェンスを使いたくないと考えていますので,
北欧の住環境・境界の作り方については特に魅力的に感じられました.
さて,再びバウスベアに到着すると,レースが始まっていました.(レースの進行が地域に到達した?)
そして,教会も中に入れるように!
設計者はシドニーオペラハウスと同じ,ヨーン・ウッツオン(Jorn Utzon).
司祭さんが建物の解説をしてくれました.
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大型バスは自転車レース関係.目と鼻の先でレースが開催されていた.
貝殻を重ねたようなオペラハウスのエレガントなデザインとは打って変わり,バウスベア教会の外観は無骨そのもの.
まるで倉庫か工場のようです.
工業的なプレキャストコンクリートを積極的につかっており,
無機質&ローコストな素材使いでドライに仕上げた印象を強く受けます.
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Bagsværd Church(1976)/Jørn Utzon
しかし,内部は雲からインスピレーションを得たという曲面の天井が光と影の美しいグラデーションをもたらし,
廊下に設けられたトップライトが雲の隙間から光が落ちてくるような様相で,空間は神秘的ですらあります.
雲の下に集う教会,美しいコンセプトですね.
外観とのギャップの大きさに驚かされます.
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祭壇もプレキャストコンクリートのブロックで作られている.
質素で潔い,しかし決して貧しい空間ではない.
予算など厳しい条件であっても,空間構成で豊かな建築はつくれるのだと可能性を感じれて良かったです.
教会のすぐ隣がコースです.
スタッフが帽子や応援グッツを配っていました.
せっかくなので雰囲気を楽しんでいくことに.
結構カジュアルな市民レースなのかな?
それともガチ勢が通り過ぎた後なのか?
まばらに選手が走ってきます.
暫くして,レースの撤収作業が始まりましたが,手際が良くて感心しました.
ロードバイクは日本ではマイナーな競技ですが,ヨーロッパではサッカーやテニスに並ぶメジャースポーツ.
スタジアムではなく街中で開催される競技なのでお祭りのようです.
街との一体感が魅力的ですね.
駅前の広場は,多くの人で引き続き賑わっていました.
広場に面した小さなショッピングモールで美味しそうなジェラートを見つけて,購入.
賑わう街の様子を見ながら一休みします.
ジェラート,美味しい!
十分に満足しましたが,まだまだ明るいデンマーク.
コペンハーゲンの中心市街地に戻ります.
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Radisson SAS Royal Hotel(1960)/Arne Jacobsen
ホテルへの道中,ヤコブセン設計のSASロイヤルホテルに寄ってみました.
ロビーには印象的な螺旋階段.
細く,薄いメンバーで構成された上品で美しいデザインです.
ヤコブセンデザインの当初のインテリアを残すスィートルームも一室あるそうです.
このホテルに宿泊する機会が来たら是非とも見てみたいですね.
街の中の広めの広場にライブ会場が設置されていました.
昨晩の騒音はここが原因のようです…
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ステージには真っ赤な衣装のドラァグクイーン
どうやら街中でLGBTQの啓蒙を主旨としたイベントが開催されているようです.
今夜も寝れないか?と心配にもなりましたが,状況が把握できると気持ちは幾分マシになるものです.
この日は静かになるまでは,お酒を飲んで過ごし,賑わいを前向きに捉えることで心穏やかに就寝することが出来ました.
コペンハーゲン二日目は,二つの全く異なるコンセプトの教会建築を体験することができました.
ちょっとしたハプニングもありましたが,大きな感動と学びがあり,とても有意義な1日となりました.