台北の山の中,舗装のない細い道を進むと茂みにここのサインが落ちていた.
観光客が近寄る場所ではない.たまたま,外にいたオーナーと話し,案内を受けた.
衝撃的な建築で,感銘を受けた.
怪しげな名前のつけられたこの建築は,外装が農業用のネットで作られている.
とても荒々しい造りをしている一方で,自然環境をネットのフィルターを通してコシ分けるように慎重に内部空間を作り出されていた.
ネットとビニールで出来たトンネルは蚊を寄せ付けず,木は貫き,風が通りぬけ,木漏れ日が落ちる.ビニールシートが掛けられていないトンネルの足元には室内側に排水溝が設けられており,部分的に雨水が吹き込むことを許容するデザインとなっている.これは実は合理的で,落ち葉で排水溝がつまることを防ぐ役割も果たす.
そのように自然との応答を感じつつ,奥へと進むと段階的に部屋らしい部屋となっていく.
簡素な造りでありながら,深い緑と光と影が豊かな表情をもたらしていた.
ここまでくるとネットに積もる落ち葉さえも,光をコントロールする要因であるとポジティブに捉えられる.
環境との関係性の豊かさが,何とも魅力的な建築であった.
純朴さや懐かしさと共に,共生や調和のある未来を感じさせる建築である.